校長室より

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令和8年度 第81回 入学式 校長式辞

式辞

 開校当初から校門わきにある染井吉野の花びら舞い、本校の弥栄を称える校章由来の三本松の翠も生き生きと、春爛漫をつげる今日の佳き日に、御来賓並びに新入生保護者の皆様の御臨席を賜り、令和8年度・埼玉県立松山女子高等学校・第81回入学式をこのように挙行できますことは、本校にとってこの上ない喜びであります。心より御礼申し上げます。

 只今、入学を許可しました三百十一名の新入生のみなさん、入学おめでとう。在校生並びに教職員一同、みなさんの入学を心から歓迎いたします。
 また、保護者の皆様におかれましても、御息女の入学、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。

 本校は、「凛として善美に輝く」人材を育成することを校是として、全教職員が一丸となって取り組んでおります。在校生も勉学に部活動に主体的に取り組み、自立に向けて日々自らを磨いております。本日より三年間お子様の成長の支援を精一杯つとめさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本校は、大正十五年に「松山町立埼玉県松山実科高等女学校」として開校し、今年度で百一年目を迎えます。卒業生は二万六千人を超え、代々の先輩方が築き守り抜いてきたその伝統と誇りを百一年目の新入生のみなさんは受け継ぐことになります。

 十一世紀、中国で書かれた禅の歴史書「天聖広燈録」の一節に「松樹千年の翠」という言葉があります。常緑樹である松の樹は百年も千年も翠を称えているという意味です。

千年変わらぬ松の翠とは、正に本校が百年もの間受け継いできた勤勉、勇気、気品、誠実、忍耐、感謝といった変わらぬ価値そのものです。記念すべき創立百周年の入学生として是非ともその変わらぬ価値を全身全霊でつないでいっていただきたいと思います。

 さて、いよいよ希望に満ちたみなさんの高校生活が始まります。伝統の松山女子高校の生徒であるという誇りと自覚を胸に、是非とも三年間の高校生活を充実させてください。私からは、みなさんが高校生活を充実させるために、これからの指針となることを2つお話しします。これは、3月に巣立っていった卒業生に、そして在校生に、何度となく話していることで、松女生ならば常に意識してほしいことでもあります。

 一つ目は、本校が大事にしている「凛として輝く」という言葉について、その意味を示しておきたいと思います。

 「凛として」という言葉には、「凛々しい」とか「しっかりしている」といった力強い意味があります。つまり、「凛として輝く」とは、しっかりと誇りをもって自分自身で輝くということです。どこで輝くのか、それは卒業後の「社会」です。

 みなさんは、本校で自身を磨き、卒業後の社会でしっかりと胸を張り、一人で凛々しく輝くべき人材なのです。3年間の高校時代というのは、そのための準備期間、リハーサルということです。

 このリハーサル期間に社会で通用する品格と、どこへ行ってもくじけない自信と誇りを身に付けてほしいのです。そして、それは一人の自立した人間になる道のりでもあります。


 みなさんは、9年間の義務教育を終え、自ら松女での新たな学びの道を選択したのです。決して与えられたものではないのです。その責任というものを自覚するか、しないかは大きな違いです。凛として輝けるよう、自らをしっかりと磨いていってください。

 保護者のみなさまに申し上げます。御息女は本日より義務教育を終えた高校生です。いつまでも「可愛い、可愛い」ばかりの子供ではありません。保護者のみなさまにもしっかりと自立を促していただかなければなりません。どうかよろしくお願いいたします。

 2つ目は、「母校となる松女を全力で好きになれ」ということです。
 人は自分が好きになったことなら、どんどん吸収するものです。やらされるのではなく、自ら進んで取り組むようになります。

 そうなれば、もはや周りがやめろと言っても誰も止められません。「受け身」ではなく、「能動的」な状態です。「好き」という状態は、言い換えると「能動的」「主体的」とも言えるかもしれません。

 「好きこそものの上手なれ」という言葉があります。七百年以上前の吉田兼好の言葉です。この言葉は「主体的・能動的に取り組むと成長する」という意味なのです。みなさんには、三年間の松女での生活を丸ごと好きになってもらい、大いに成長していってほしいと思います。

 幸いに、この松山女子高校は、地域の方々からも長きにわたり、深く深く愛していただいております。教職員もしかりです。そんな愛情に包まれながら、みなさんも「松女を全力で好き」になり、「好きこそものの上手なれ」を体現してください。

 みなさんの入学に際し、これからの指針として、二つお話ししました。一つ目は、「凛として輝く」の意味と自立について、二つ目は、松女を全力で愛して、「好きこそ物の上手なれ」の体現をという話でした。
私たち教職員は、全力でそれをサポートしてまいります。

 重ねて保護者の皆さまに申し上げます。本日から三年間、責任を持ってお子様をお預かりいたします。
 家庭教育と学校教育との関係は、車の両輪とよく言われます。家庭と学校がそれぞれの役割をしっかり果たし、協力・連携し、教育に当たることが、何よりも大切なことは、言うまでもありません。

 私たち教職員一同、御期待に沿えるよう、一所懸命に努力いたします。是非とも学校を信頼していただき、家庭と学校との風通しを良くしながら、お子様の成長に向け、一緒に取り組んでいきたいと思いますので、何卒、御支援・御協力をよろしくお願いいたします。

 結びに、新入生のみなさんがこの伝統ある松山女子高校の生徒として、「凛として輝く」人材になるべく充実した三年間を送られんことを大いに期待して、私の式辞といたします。

令和八年四月八日

埼玉県立松山女子高等学校長 黒田 勇輝

 

令和8年度 第1学期始業式 校長講話

 

 

 

 

 

 

 

 

■2年生、3年生のみなさん、おはようございます。4月になり、みなさん一つ学年が上がりました、進級、おめでとう。
■今日は校長講話の前に、本校生徒の地域貢献の取組を2つ紹介します。

■一つ目は、本校家庭部と女子栄養大学の連携からはじまったプロジェクトです。
■家庭部と女子栄養大の学生で、地元の和菓子店「富久屋」さんの新たな商品を作りだすというものです。そこに東松山市政策推進課や埼玉りそな銀行東松山支店、そして松山高校・新聞部がそのプロジェクトを支援するために結集しました。
■名付けて「東松山市 産学官金連携プロジェクト」です。完成した和菓子は「東松山さんぽ」というもので、「富久屋」さんのヒット商品「牡丹だんご」のみたらしの代わりに東松山名物焼きとりの「辛みそ」が塗ってあるおいしいお団子です。
■パッケージには、連携6者のかわいいイラスト、松女・松高の校章などもプリントされています。先日3/27に川越コエドテラスにて6者が集まって販売会を行いました。家庭部の新2年生4名がボランティアで販売会に参加してくれました。市では是非ともふるさと納税の返礼品に加えたいと言っています。
■箭弓さんの前の「富久屋」さんで販売中ですので、みなさんもよかったら味わってみてください。

■二つ目は、本校美術部のコヤノコーヒー・シャッタープロジェクトです。
■おとなりのコヤノコーヒーさんとの連携プロジェクトとして、家庭部と美術部が手掛けたオリジナルコーヒーは、百周年記念式典の際に皆さんにも配られましたが、その流れをくむプロジェクトで、美術部がこの春休みに地元コヤノコーヒーのシャッター壁画を制作しました。
■シャッターに書かれた大きなイメージ画のデザインは、美術部の一人一人が描いたものの中から、オーナーの小谷野さんが選び、それを美術部の皆さんで数日間に渡って描いていきました。
■4月6日の完成日には、地域の方々なども集まって手伝ってくれたとのことです。地域の方たちの憩えるコミュニティにしたいというオーナーの理念を反映したすばらしいシャッター絵だと思います。みなさんも登下校の際にはよく見てみてください。
■校長講話の前に少々時間をいただいて、松女生の地域貢献の活躍を紹介しました。この二つの取組は、地域活性化に大きく貢献するものです。関わったみなさんは、とてもよい経験をしたと校長は思います。よく頑張りました。お疲れ様でした。

■前置きが長くなりましたが、ここから校長講話に入ります。
■さて、本日午後は、新入生の入学式が行われます。伝統ある松山女子高校での生活に期待を膨らませて、松女の門をくぐります。その入学式での校長式辞では、みなさんにも何度となく話している、これからの指針としてほしい話を二つしようと思っています。
■一つは、松山女子高校がとても大事にしている「凛として輝く」という言葉の意味。そして、二つ目は、「好きこそものの上手なれ」の話です。二つとも、松女生には何度も話している内容ですね。なぜ、こんなに何度も話すのかというと、この「好きこそものの上手なれ」が「学びの真髄」だからです。

■この「好きこそものの上手なれ」は、本校の重点目標にもなっています。そこでは「主体的な学び」と言い換えて、「生徒・教職員により主体的な学びを実現する」と言っています。
■つまり、生徒諸君が国語や数学や英語などなど、授業がたのしい、面白い。更にいえば、学ぶことが楽しい、面白いと思えることが「学びの真髄」なのです。先生方もそこを目指して日々授業を行っているのです。

■とはいえ、実はこれ、そう簡単ではありません。簡単であれば、重点目標などになってはいません。簡単ではないから目標になっているのです。校長も38年間、教員をやってきましたが、「先生、国語って面白いですね」って、生徒から言われたのは10人もいません。そんな難しいことを、先生方と松女生に目指してもらっているのです。

■ということで、本日は「好きこそものの上手なれ」に到達するにはということを、考えてみたいと思います。もう少し簡潔にいうと「好き」になるにはどうしたらよいかということです。その方策を二つほど考えてみましょう。

■では、一つ目の方策です。ここで、みなさんに苦手な教科を少し聞いてみたいと思います。全教科は聞けませんので、そうですね。国語と数学について聞いてみましょう。「国語が苦手だ」と思う人は、手を挙げてみてください。では、「数学が苦手だ」と思う人は、手を挙げてみてください。はい、ありがとうございました。

■まず、これがダメですかね。聞く方が悪いのですが、「苦手だ」とはっきりと意識してしまっていることです。今までの経験から「苦手意識」を持ってしまったのでしょうが、「苦手」意識とは、「好きこそものの上手なれ」とは、真逆の方向に位置するものですからね。
■「苦手」ぐらいならまだしも、「キライ」とまで思ってしまうと、最初からシャッターを閉めて、受け入れなくなってしまいますよね。

■アンコンシャス・バイアスという言葉を知っていますか。自分自身では気付いていない「ものの見方や捉え方の歪み」のことです。もしかすると、みなさんの苦手意識もここに原因があるのかもしれません。

■「苦手意識」を持たないようにすることが方策の一つです。その具体的な方法は各自が考えてください。例えば、校長が聞いてしまったような「○○が苦手な人」には、手を挙げないとか、万が一、推薦試験の面接で「苦手な教科はありますか」などと聞かれたら「ありません!」と答えるとか。または、人間関係と同じように、よいところだけを見るようにするとか。みなさんも考えてみてください。
■一つ目の方策の結論。要するに心理的な壁を作らないということです。

■二つ目の方策。人が人を好きになるときのプロセスから考えてみましょう。「一目惚れ」ということはありますが、おおかたは、その人のことを知っていくうちに好意を寄せていくものです。「人となりが知れていくにつれて」ということです。
■よく知りもしないでキライになるなど、もってのほかです。しかし、「キライ」だと思っている教科がある場合は、よく知りもしないでということが多いのではないでしょうか。

■では、どうしたらよいか。その答えは、キライだと思う前にもっと知ってみるということです。「知る」ということは、この場合「勉強する」ということになりますので、つべこべ言わずにまずはある程度やってみなさいということでしょうか。

■そうすれば、「ああ、そういうことか!」と分かり、理解ができるようになる。理解ができるようになると、問題も解けるようになって、成績も上がって、楽しくなる。楽しくなれば、好きになる。といった、正のスパイラルが生まれてくるのだと思います。

■二つ目の方策の結論。要するに「つべこべ言わずに、まずはやってみる」ということです。

■以上、1学期始業式に当たり、1点だけ「好きこそものの上手なれ」に到達するにはということについて話しました。

■さて、いよいよ百一年目の令和8年度がスタートします。みなさん一人一人が意義ある1年になるよう、主体的な学びの実現に向けて取り組んでくれることを大いに期待しています。
■午後には、みなさんの後輩となる新入生を迎えます。よきメンター役として様々な場面で助けてあげてください。よろしくお願いします。 以上です。