校長室より

校長室より

令和8年度 第81回 入学式 校長式辞

式辞

 開校当初から校門わきにある染井吉野の花びら舞い、本校の弥栄を称える校章由来の三本松の翠も生き生きと、春爛漫をつげる今日の佳き日に、御来賓並びに新入生保護者の皆様の御臨席を賜り、令和8年度・埼玉県立松山女子高等学校・第81回入学式をこのように挙行できますことは、本校にとってこの上ない喜びであります。心より御礼申し上げます。

 只今、入学を許可しました三百十一名の新入生のみなさん、入学おめでとう。在校生並びに教職員一同、みなさんの入学を心から歓迎いたします。
 また、保護者の皆様におかれましても、御息女の入学、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。

 本校は、「凛として善美に輝く」人材を育成することを校是として、全教職員が一丸となって取り組んでおります。在校生も勉学に部活動に主体的に取り組み、自立に向けて日々自らを磨いております。本日より三年間お子様の成長の支援を精一杯つとめさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本校は、大正十五年に「松山町立埼玉県松山実科高等女学校」として開校し、今年度で百一年目を迎えます。卒業生は二万六千人を超え、代々の先輩方が築き守り抜いてきたその伝統と誇りを百一年目の新入生のみなさんは受け継ぐことになります。

 十一世紀、中国で書かれた禅の歴史書「天聖広燈録」の一節に「松樹千年の翠」という言葉があります。常緑樹である松の樹は百年も千年も翠を称えているという意味です。

千年変わらぬ松の翠とは、正に本校が百年もの間受け継いできた勤勉、勇気、気品、誠実、忍耐、感謝といった変わらぬ価値そのものです。記念すべき創立百周年の入学生として是非ともその変わらぬ価値を全身全霊でつないでいっていただきたいと思います。

 さて、いよいよ希望に満ちたみなさんの高校生活が始まります。伝統の松山女子高校の生徒であるという誇りと自覚を胸に、是非とも三年間の高校生活を充実させてください。私からは、みなさんが高校生活を充実させるために、これからの指針となることを2つお話しします。これは、3月に巣立っていった卒業生に、そして在校生に、何度となく話していることで、松女生ならば常に意識してほしいことでもあります。

 一つ目は、本校が大事にしている「凛として輝く」という言葉について、その意味を示しておきたいと思います。

 「凛として」という言葉には、「凛々しい」とか「しっかりしている」といった力強い意味があります。つまり、「凛として輝く」とは、しっかりと誇りをもって自分自身で輝くということです。どこで輝くのか、それは卒業後の「社会」です。

 みなさんは、本校で自身を磨き、卒業後の社会でしっかりと胸を張り、一人で凛々しく輝くべき人材なのです。3年間の高校時代というのは、そのための準備期間、リハーサルということです。

 このリハーサル期間に社会で通用する品格と、どこへ行ってもくじけない自信と誇りを身に付けてほしいのです。そして、それは一人の自立した人間になる道のりでもあります。


 みなさんは、9年間の義務教育を終え、自ら松女での新たな学びの道を選択したのです。決して与えられたものではないのです。その責任というものを自覚するか、しないかは大きな違いです。凛として輝けるよう、自らをしっかりと磨いていってください。

 保護者のみなさまに申し上げます。御息女は本日より義務教育を終えた高校生です。いつまでも「可愛い、可愛い」ばかりの子供ではありません。保護者のみなさまにもしっかりと自立を促していただかなければなりません。どうかよろしくお願いいたします。

 2つ目は、「母校となる松女を全力で好きになれ」ということです。
 人は自分が好きになったことなら、どんどん吸収するものです。やらされるのではなく、自ら進んで取り組むようになります。

 そうなれば、もはや周りがやめろと言っても誰も止められません。「受け身」ではなく、「能動的」な状態です。「好き」という状態は、言い換えると「能動的」「主体的」とも言えるかもしれません。

 「好きこそものの上手なれ」という言葉があります。七百年以上前の吉田兼好の言葉です。この言葉は「主体的・能動的に取り組むと成長する」という意味なのです。みなさんには、三年間の松女での生活を丸ごと好きになってもらい、大いに成長していってほしいと思います。

 幸いに、この松山女子高校は、地域の方々からも長きにわたり、深く深く愛していただいております。教職員もしかりです。そんな愛情に包まれながら、みなさんも「松女を全力で好き」になり、「好きこそものの上手なれ」を体現してください。

 みなさんの入学に際し、これからの指針として、二つお話ししました。一つ目は、「凛として輝く」の意味と自立について、二つ目は、松女を全力で愛して、「好きこそ物の上手なれ」の体現をという話でした。
私たち教職員は、全力でそれをサポートしてまいります。

 重ねて保護者の皆さまに申し上げます。本日から三年間、責任を持ってお子様をお預かりいたします。
 家庭教育と学校教育との関係は、車の両輪とよく言われます。家庭と学校がそれぞれの役割をしっかり果たし、協力・連携し、教育に当たることが、何よりも大切なことは、言うまでもありません。

 私たち教職員一同、御期待に沿えるよう、一所懸命に努力いたします。是非とも学校を信頼していただき、家庭と学校との風通しを良くしながら、お子様の成長に向け、一緒に取り組んでいきたいと思いますので、何卒、御支援・御協力をよろしくお願いいたします。

 結びに、新入生のみなさんがこの伝統ある松山女子高校の生徒として、「凛として輝く」人材になるべく充実した三年間を送られんことを大いに期待して、私の式辞といたします。

令和八年四月八日

埼玉県立松山女子高等学校長 黒田 勇輝

 

令和8年度 第1学期始業式 校長講話

 

 

 

 

 

 

 

 

■2年生、3年生のみなさん、おはようございます。4月になり、みなさん一つ学年が上がりました、進級、おめでとう。
■今日は校長講話の前に、本校生徒の地域貢献の取組を2つ紹介します。

■一つ目は、本校家庭部と女子栄養大学の連携からはじまったプロジェクトです。
■家庭部と女子栄養大の学生で、地元の和菓子店「富久屋」さんの新たな商品を作りだすというものです。そこに東松山市政策推進課や埼玉りそな銀行東松山支店、そして松山高校・新聞部がそのプロジェクトを支援するために結集しました。
■名付けて「東松山市 産学官金連携プロジェクト」です。完成した和菓子は「東松山さんぽ」というもので、「富久屋」さんのヒット商品「牡丹だんご」のみたらしの代わりに東松山名物焼きとりの「辛みそ」が塗ってあるおいしいお団子です。
■パッケージには、連携6者のかわいいイラスト、松女・松高の校章などもプリントされています。先日3/27に川越コエドテラスにて6者が集まって販売会を行いました。家庭部の新2年生4名がボランティアで販売会に参加してくれました。市では是非ともふるさと納税の返礼品に加えたいと言っています。
■箭弓さんの前の「富久屋」さんで販売中ですので、みなさんもよかったら味わってみてください。

■二つ目は、本校美術部のコヤノコーヒー・シャッタープロジェクトです。
■おとなりのコヤノコーヒーさんとの連携プロジェクトとして、家庭部と美術部が手掛けたオリジナルコーヒーは、百周年記念式典の際に皆さんにも配られましたが、その流れをくむプロジェクトで、美術部がこの春休みに地元コヤノコーヒーのシャッター壁画を制作しました。
■シャッターに書かれた大きなイメージ画のデザインは、美術部の一人一人が描いたものの中から、オーナーの小谷野さんが選び、それを美術部の皆さんで数日間に渡って描いていきました。
■4月6日の完成日には、地域の方々なども集まって手伝ってくれたとのことです。地域の方たちの憩えるコミュニティにしたいというオーナーの理念を反映したすばらしいシャッター絵だと思います。みなさんも登下校の際にはよく見てみてください。
■校長講話の前に少々時間をいただいて、松女生の地域貢献の活躍を紹介しました。この二つの取組は、地域活性化に大きく貢献するものです。関わったみなさんは、とてもよい経験をしたと校長は思います。よく頑張りました。お疲れ様でした。

■前置きが長くなりましたが、ここから校長講話に入ります。
■さて、本日午後は、新入生の入学式が行われます。伝統ある松山女子高校での生活に期待を膨らませて、松女の門をくぐります。その入学式での校長式辞では、みなさんにも何度となく話している、これからの指針としてほしい話を二つしようと思っています。
■一つは、松山女子高校がとても大事にしている「凛として輝く」という言葉の意味。そして、二つ目は、「好きこそものの上手なれ」の話です。二つとも、松女生には何度も話している内容ですね。なぜ、こんなに何度も話すのかというと、この「好きこそものの上手なれ」が「学びの真髄」だからです。

■この「好きこそものの上手なれ」は、本校の重点目標にもなっています。そこでは「主体的な学び」と言い換えて、「生徒・教職員により主体的な学びを実現する」と言っています。
■つまり、生徒諸君が国語や数学や英語などなど、授業がたのしい、面白い。更にいえば、学ぶことが楽しい、面白いと思えることが「学びの真髄」なのです。先生方もそこを目指して日々授業を行っているのです。

■とはいえ、実はこれ、そう簡単ではありません。簡単であれば、重点目標などになってはいません。簡単ではないから目標になっているのです。校長も38年間、教員をやってきましたが、「先生、国語って面白いですね」って、生徒から言われたのは10人もいません。そんな難しいことを、先生方と松女生に目指してもらっているのです。

■ということで、本日は「好きこそものの上手なれ」に到達するにはということを、考えてみたいと思います。もう少し簡潔にいうと「好き」になるにはどうしたらよいかということです。その方策を二つほど考えてみましょう。

■では、一つ目の方策です。ここで、みなさんに苦手な教科を少し聞いてみたいと思います。全教科は聞けませんので、そうですね。国語と数学について聞いてみましょう。「国語が苦手だ」と思う人は、手を挙げてみてください。では、「数学が苦手だ」と思う人は、手を挙げてみてください。はい、ありがとうございました。

■まず、これがダメですかね。聞く方が悪いのですが、「苦手だ」とはっきりと意識してしまっていることです。今までの経験から「苦手意識」を持ってしまったのでしょうが、「苦手」意識とは、「好きこそものの上手なれ」とは、真逆の方向に位置するものですからね。
■「苦手」ぐらいならまだしも、「キライ」とまで思ってしまうと、最初からシャッターを閉めて、受け入れなくなってしまいますよね。

■アンコンシャス・バイアスという言葉を知っていますか。自分自身では気付いていない「ものの見方や捉え方の歪み」のことです。もしかすると、みなさんの苦手意識もここに原因があるのかもしれません。

■「苦手意識」を持たないようにすることが方策の一つです。その具体的な方法は各自が考えてください。例えば、校長が聞いてしまったような「○○が苦手な人」には、手を挙げないとか、万が一、推薦試験の面接で「苦手な教科はありますか」などと聞かれたら「ありません!」と答えるとか。または、人間関係と同じように、よいところだけを見るようにするとか。みなさんも考えてみてください。
■一つ目の方策の結論。要するに心理的な壁を作らないということです。

■二つ目の方策。人が人を好きになるときのプロセスから考えてみましょう。「一目惚れ」ということはありますが、おおかたは、その人のことを知っていくうちに好意を寄せていくものです。「人となりが知れていくにつれて」ということです。
■よく知りもしないでキライになるなど、もってのほかです。しかし、「キライ」だと思っている教科がある場合は、よく知りもしないでということが多いのではないでしょうか。

■では、どうしたらよいか。その答えは、キライだと思う前にもっと知ってみるということです。「知る」ということは、この場合「勉強する」ということになりますので、つべこべ言わずにまずはある程度やってみなさいということでしょうか。

■そうすれば、「ああ、そういうことか!」と分かり、理解ができるようになる。理解ができるようになると、問題も解けるようになって、成績も上がって、楽しくなる。楽しくなれば、好きになる。といった、正のスパイラルが生まれてくるのだと思います。

■二つ目の方策の結論。要するに「つべこべ言わずに、まずはやってみる」ということです。

■以上、1学期始業式に当たり、1点だけ「好きこそものの上手なれ」に到達するにはということについて話しました。

■さて、いよいよ百一年目の令和8年度がスタートします。みなさん一人一人が意義ある1年になるよう、主体的な学びの実現に向けて取り組んでくれることを大いに期待しています。
■午後には、みなさんの後輩となる新入生を迎えます。よきメンター役として様々な場面で助けてあげてください。よろしくお願いします。 以上です。

令和7年度 終了式 校長講話

 

 

 

 

 

 

 

 

◼️1・2年生のみなさん、おはようございます。校長の黒田です。

◼️今日はまず、先日の卒業式についてお話します。先日の卒業式は、心のこもったとてもいい式典になりました。卒業生はもちろんのこと、在校生のみなさんの立ち居振る舞いも素晴らしかったです。

◼️式中の緊張感ある静寂、見事にそろった起立・着席、心を込めて歌った校歌、そしてまっすぐに整えられた座席。どれもこれも一つずつ心があって、あの素晴らしい卒業式が出来上がったのだと思います。在校生のみなさんが果たしてくれた役割はとても大きいものでした。改めて感謝したいと思います。どうもありがとう!

 

◼️では、創立百周年の今年度、令和7年度の修了式にあたり、校長として1点だけ話をします。内容は、松女の素晴らしいところという話です。これは、中学校に生徒募集に行った際、よく話している内容でもあります。

 

◼️以前、校長が3年生の授業を見学に行ったときの話をしたのを覚えていますか。

◼️3年生のある授業を見に行ったとき、教科担当の先生が「これ分かる人?」と発問すると5、6人の生徒がすかさず、「はい!」と手を挙げました。校長はまずここで一つ目の感動。いくつかの高校を勤務してきた私にとって、これが多くの高校3年生の授業の光景ではないことを知っているから。私が他の共学の進学校で体験した同様の状況では、答えが分かっていても、挙手する者はいませんでした。

◼️では、松女の3年生は、なぜ手を挙げるのか。それは、本校が女子校だからです。思春期の高校時代という人生で最も多感で成長する時期に、異性の目を気にせず、自然体で授業に臨めるからです。思春期にであれば「恥ずかしい」という感情は当然のこと。そして、この「恥ずかしい」という感情も決してなくしてはならないものです。

◼️しかし、この「恥ずかしい」に負けて、学習意欲やチャレンジ精神などが、かき消されてしまうのです。だから、この状況というのは、女子校である学校にとってかけがえのないメリットと言えるのです。

◼️さて、その後。手を挙げた5、6人の中の一人が指名されました。その生徒は、起立して大きな声で発表。しかし、答えは正解ではありませんでした。校長は、ここで2回目の更なる大きな感動。

◼️人前で間違えるということは、異性の目があろうとなかろうと、かなり恥ずかしさを感じることです。これを警戒して、大抵の生徒は手を挙げないのです。

◼️では、なぜこのクラスでは、このような光景が繰り広げられたのか。それは、この授業に、このクラスに、松山女子高校の生徒たちの中に、「心理的安全性」というものがあるからなのです。

◼️つまり、この間違えた生徒を冷やかしたり、からかったりするものは一人もいない。安心して、挑戦できる土壌が、この松山女子高校にはあるのです。

◼️校長は、この心理的安全性に本当に感動するのです。私は、このような愛おしい生徒たちがたくさんいる松山女子高校の校長であることを誇らしく思います。

 

◼️先日の卒業式で、校長は今までの卒業生が築いてくれた百年を、大切に、次なる百年へとつなげていくと「創立百周年の卒業生」に約束しました。

◼️この松山女子高校の生徒の皆さんの中にある、挑戦や失敗を許す「心理的安全性」こそ、松山女子高校の皆さんを凜と輝かせる土壌なのです。これこそ、次の百年に繋げていくべきものだと思うのです。

◼️松山女子高校の生徒であるならば、このよき伝統を大切にしてください。しっかりと繋いでいってください。

◼️これが、創立百周年の修了式に、校長が松女生たちに伝えたいことです。

 

◼️さて、各学年ともに既にフロアも移動し、4月にはそれぞれ一学年進級します。よき先輩として新入生を迎えてあげてください。そして、残りの高校生活を大切に、真の松女生となるべく、励んでください。

◼️では、また4月の始業式で会いましょう。

 

令和7年度 第78回卒業証書授与式 校長式辞

式辞

 校門に紅白の梅の香り漂い、この箭弓の杜辺に春の息吹感ずる今日の佳き日に、御来賓並びに卒業生保護者の皆様の御臨席の下、埼玉県立松山女子高等学校、令和7年度 第78回卒業証書授与式をかくも盛大に挙行できますことは、卒業生はもとより在校生そして私たち教職員にとってこの上ない喜びであります。

 本日、御臨席を賜りました御来賓のPTA・後援会の皆様には、日頃から本校教育に御理解と御協力を賜り、さらに本日巣立ちゆく卒業生の門出に華を添えていただきましたことに心より御礼申し上げます。

 また、保護者の皆様におかれましては、御息女の成長した姿に感慨もひとしおのことと存じます。御卒業まことにおめでとうございます。

 只今、卒業証書を授与しました318名の卒業生のみなさん、卒業おめでとう。
本校所定の教育課程を無事終了し、めでたく卒業の日を迎えることができたのは、一人一人がたゆまぬ努力を積み重ねてきた結果であることは言うまでもありません。その努力に改めて敬意を表します。よく頑張りました。

 同時に、その頑張りを陰で支えてくれた周囲の方々への感謝の気持ちを決して忘れてはなりません。特に保護者の支えなくしては本日を迎えることはなかったはずです。その無償の愛に対して、是非とも自身の言葉で感謝の意を伝えてみてください。

 また、手前味噌になりますが、三年間叱咤激励を続けた担任や教職員の存在も忘れないでください。口うるさく、うっとうしいと思ったこともあるのではないかと思いますが、君たちにとって耳障りなことを言ってくれる人が、実は一番心配してくれている人だということを心の片隅に留めておいてください。
 

 私は、卒業生のみなさんとは2年間、ここ松山女子高校で共に過ごし、校長として見守ってまいりました。始業式や終業式。また、松女祭や体育祭。今年度は、創立百周年という本校にとってとても大事な節目であり、その式典もありました。みなさんはその「創立百周年の卒業生」ということです。そんな奇跡的な1回限りの百周年記念式典も含めて、わずかな機会ではありましたが、みなさんの成長を祈り、私なりに言葉を送ってきました。

今日は「創立百周年の卒業生」に餞として、二つの言葉を送ります。これが校長からの最後の授業です。

 一つ目は、「凛として輝くに自信を持って進め」という言葉です。
 3年間何度となく聞いたこの「凛として輝く」という言葉は、みなさんが今後社会に出て、胸をはり、自信をもって立派に活躍していく、その姿を象徴するものです。そのために3年間、勉学にそして部活動に励み、自信を磨いてきたのです。その経験たるや、そうやわなものではありません。

 創立百周年記念式典の式辞でもお話した「松樹千年の翠」という言葉を覚えていますか。「松の木は千年変わることなく緑を保っている」という意味で、「茶の湯」の道では、長寿を祝うおめでたい席などでよく使われる言葉であると、式典では話しました。また、百年間守り抜いて来た松山女子高校の「変わらぬ価値」いわゆる伝統と「松の翠」が重なるとも話したと思います。

正にその通りなのですが、実はこの「松樹千年の翠」には、この後に続くフレーズがあります。「松樹千年の翠」・・・「時の人の意に入らず」と続きます。
つまり、「松は千年、いきいきとその緑をたたえている 世の人の注目をひくこともなく」という意味になります。人知れぬ地道な努力の大切さを説いた言葉です。

 季節ごとに美しい花を咲かせる樹木は人の目を引き付けますが、松の木は変化に乏しく地味な存在です。しかし、断崖絶壁などの厳しい場所でもしっかりと根を張り、長い命を保つ松は、人知れぬところで力を尽くし、成長することによって鮮やかな緑の葉を保っているのです。

 みなさんが3年間、本校で「凛として輝く」ために積み重ねてきた努力と経験は、この「松の翠」そのものであり、尊いものなのです。ですから、自信をもって、凛として輝いていってほしいと思うのです。そのような意味で「凛として輝くに自信を持って進め」という言葉を送ります。

 二つ目は、これは以前にも話したことがありますが、「主体的な学び」ということに関連して「好きこそものの上手なれ」という言葉です。
 これは、本校の重点目標にも掲げているものですが、単に学校の中の目標にとどまらず、社会で生きていく上でも重要になってくるものですので、最後にもう一度話しておきたいと思います。

 「学びは、自ら主体的に取りに行く、受け身ではダメ」と始業式や終業式でも話したことがあると思います。そして、それを「好きこそものの上手なれ」と言い換えたと思います。好きになったことなら、いくらでも時間を費やせるし、また、苦労を感じないし、むしろやっていて楽しい。この境地が学びの真髄なのです。今から七百年以上も昔の吉田兼好の言葉です。

 卒業生のみなさんの目の前に広がる世界は、穏やかな凪の状態ではないでしょう。そんな世界では、受け身に待つのではなく、主体的に、つまり「好き」になりながら前進することが大事です。そのような意味で「好きこそものの上手なれ」という言葉を送ります。きっと豊かな人生になることと思います。

 以上、餞として2つお話しました。

 みなさんが巣立ちゆくこの松山女子高校は、来年度は創立百一年となります。また新たな百年が始まるのです。今までの卒業生が築いてくれた分と「創立百周年の卒業生」が築いてくれた3年分を合せた100年を、大切に、次なる100年へとつなげていく所存です。残る教職員一同、そのことを「創立百周年の卒業生」にお約束したいと思います。

 結びになりますが、巣立ちゆく卒業生の様々な教育活動を支えてくださいましたPTA・後援会の皆様、そして常に松女を愛してくださる地域の皆様に心より感謝申し上げます。
 
それでは、いよいよ別れのときです。卒業生のみなさんの「凛として輝く」未来を心より祈念して「式辞」といたします。

 令和八年三月十一日

埼玉県立松山女子高等学校長 黒田 勇輝

令和7年度 第3学期始業式 校長講話

 

 

 

 

 

 

 

 

■新年あけましておめでとうございます。みなさん、健やかに新年を迎えられたことと思います。昨日1月7日は「七草の日」。「せりなづなごぎょうはこべらほとけのざすずなすずしろこれぞ七草」春の七草を入れた御粥を食べ、無病息災を願うという日です。私も昨日、松山女子高校のみなさんの無病息災を願って、「七草粥」をいただきました。

■では、本日の3学期始業にあたり、校長として1点だけ話をしたいと思います。新年なので、生徒のみなさんに是非ともこういう年にしてほしいという話です。

 

■さて、いよいよ今月17、18日は、令和8年度大学入学共通テスト本試験が行われます。さらに、その後も、各大学が実施する一般受験も控えています。受験する3年生も多いことと思います。年末年始の休みも返上して頑張ったことでしょう。そんな3年生には、体調に十分に留意して、試験では今まで頑張ってきた成果を十分に発揮してほしいと思っています。先生方もしっかりサポートしてくれています。一人ではありません。強い気持ちで挑んできてほしいと思っています。

■3年生の中には、指定校や公募推薦などで、年内に進路が確定している人もいますね。まずは合格おめでとうございます。よく頑張りました。とはいえ、周りにはこれから受験に挑んでいく仲間がたくさんいます。仲間への応援と配慮を是非ともお願いします。

■2年生は、そんな3年生の背中をよく見ておいてください。来年は自分たちの番ですから。2学期には高校最大のイベント修学旅行も経験し、大きく成長したみなさんです。今年は、最高学年にもなりますし、進路を見据えた行動を主体的に進める年にしてください。

■1年生は、もう少し時間がありますので、さまざまなことに挑戦する年にしてほしいと思います。

■「一年の計は元旦にあり」という言葉をよく聞きます。この言葉のルーツを探ると戦国の武将、毛利元就の「一年の計は春にあり、一月(いちげつ)の計は朔(ついたち)にあり、一日の計は鶏鳴(けいめい)にあり」という言葉だと言われています。何事も最初に計画を立てることが肝心だという教えです。始まりが大事ということは多くの先哲がいう真理です。しかし、始まりだけではなく、締めくくりも大事ですけどね。

■ということで、私も個人として大きく1年の計を立てました。ちなみに昨年は「学びの年」でした。今年は、丙午年男にちなみ「駆け抜ける年」としました。現れてぱっといなくなるという意味ではなく、「全力で走り切る」「やり切る」「全うする」といった意味での「駆け抜ける」です。

 

■さあ、今年は松山女子高校創立101周年。ここにいるみなさんが、松山女子高校の伝統を受け継ぎ、生き生きと、そして楽しく、日々成長している姿を地域に示していくことが、現役生のみなさんの使命です。是非ともよろしくお願いします。

■本日から今年度締めくくりの3学期です。それぞれが悔いのない3学期にしてください。

 

 

令和7年度 第2学期終業式 校長講話

 

 

 

 

 

 

 

 

■みなさん、おはようございます。校長の黒田です。2学期の終業にあたり、校長として2点、話をしたいと思います。

■長かった2学期も本日で終了です。2学期は、松女祭や体育祭、そして芸術鑑賞会、また2年生の修学旅行など、多くの学校行事がありました。思い出がよみがえります。さらに、それぞれの部活動も大いに活躍しました。大変良く頑張りました。行事や部活動を含め、この2学期、生徒のみなさんはたいへん多くのことを経験し、そして成長できたことと思います。また、今年度は創立百周年記念式典も執り行い、またとない創立百周年を皆で祝福することができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

■ということで、1点目は、創立百周年記念式典について、少し振り返ってみたいと思います。去る11月22日、大野知事をはじめ、多くの来賓の御臨席の下、全生徒参加で本校の創立百周年記念式典を挙行することができました。内容は、式典、そして東大名誉教授の上野千鶴子先生の記念講演、その後は、本校筝曲部、吹奏楽部、空手道部、音楽部によるアトラクションという構成でした。式典はたいへん厳粛なもので、生徒たちの態度は大変立派でした。来賓の方々からは「素晴らしい式典」であったと口々にお褒めの言葉をいただきました。

■多くの来賓が御挨拶の中で示されたフレーズにみなさんは気付きましたか。それは「地域に愛され、地域と共に歩んできた松山女子高校」という言葉です。この言葉に生徒の皆さんは、何を感じたのでしょうか。あなたたちの母校は、そういう学校なのです。そういう百年の伝統に誇りを持って、それを受け継いでいってほしいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

■歴代校長挨拶で、御年80歳の第20代校長の平工博司先生から御祝辞をいただきました。心のこもった御祝辞で、話されている際に「感極まれり」という場面がありました。本当にありがたいお言葉でした。

■生徒代表の言葉では、前生徒会長の笠原さんが、自身の言葉で松女への思いを語ってくれました。後日、東松山市内の中学校のある校長先生から、すばらしい内容であったと大絶賛でした。私は、内容はもちろんのこと、前生徒会長の返事、演台に向かう姿、話す態度、その立ち居振る舞いに全てに感動を覚えました。さすが全生徒の代表でした。

■上野千鶴子先生の講演会で花束贈呈の大役を果たした、現生徒会長の大内さんも、上野先生からの突然のフリをものともせず、相手の考えを肯定しながらも、自身の松女愛を堂々と語ったその対応ぶりに、来賓の方々からは「ファインプレー」とやはり大絶賛でした。式典に参加されたそれぞれが、それぞれの思いを表現した結果があの式典であったのだと思います。

■学校によっては、会場等の都合で全生徒を参加させられない場合もある中で、私は校長として全生徒をこの式典に参加させることができて、本当に良かったと思っています。この貴重な節目を経験できたことは、みなさんのこれからの人生の大きな価値になることと確信しています。この百周年という貴重な節目に、同じ場に集うことができた縁とその意味というものを、それぞれが考えてみてはどうでしょうか。

■2点目は、式典でも皆で合唱した「校歌」のルーツについてです。先日、生徒会誌『青垣』76号の原稿依頼を受けて、何を書こうかと草創期の『青垣』を紐解いておりました。昭和32年発行の『青垣』7号には、県立移管後の初代校長である浅野光良先生の『校歌の生れ出るまで』という文章が掲載されていました。浅野校長先生は、昭和22年から昭和31年までの10年間、本校で校長を務められ、今もなお歌い続けられている愛着の校歌を作詞されました。

■本校は今年度創立百周年を迎えましたが、『青垣』76年の歴史は、本校県立移管後の歴史であり、本校校歌の歴史でもあります。私はここに浅野校長先生の『校歌の生れ出るまで』を披露し、本校の原点を皆で確認したいと思うのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

「校歌の生まれ出るまで」

作詞者・第5代校長 浅野 光良

 本校の校歌は、昭和二十七年四月二十七日、その作曲者である高木東六氏、及びソプラノの大谷洌子(おおたに・きよこ)嬢、バリトンの下谷川圭祐氏の両歌手を招き、校歌発表記念音楽大会を開催して、新購入のピアノで作曲者自らが伴奏し、堀川教師の指揮の下に本校音楽班生徒達の合唱によって発表され、専門家大谷嬢の独唱によって感謝裡に披露されたのであった。

 おもえば昭和二十三年三月十八日、今の松山第一小学校の敷地の一隅から現在の校地に移転して、開拓又開拓、講堂及び校舎の増新築を行い、翌年三月一日、めでたくも待望の県立移管に成功し、校運隆昌(こううんりゅうしょう)学園は向上発展の一路を辿るに至ったことと、一面学制改革により、学校内容の変遷から自然校歌の改正が行われゆく他校の状況を見るにつけ、本校には開校以来校歌の無かったことも更に起因となって、何とかして「校歌を」という気運が胎動し始め、時を経るにしたがい漸次それが声となって現れ来ったのである。(中略)この際、作詞は浅野校長にと、急転直下私の方に白羽の矢が向いて来たのだった。理由は「本校県立初代校長だし、県下高校の国語研究会長なのだから。」との事らしい。私も「このまま推移せんか何時の日か成る。」と思ったので終に自分で引受けることに決心した。(中略)

  先ず全体を三段に分ち、最初には前景として、霊峰富士の秀でた姿と、青垣なせる秩父連を、一望の中に眺め得る「いみじき場よ」と賛美し、次には背景として箭弓の神域及び松にゆかりの土地を前段同様平面的(空間的)描写に取上げて「開けし場よ」と、その広やかさと新に開拓された意図を匂わせ、最後には都幾川の流れ絶えざることと、私の縁永久に色変えぬ万代不易的尊さを寿ぎ、これを立体的(時間的)な深みと永遠性を合せて「栄ゆく場よ」と謳歌し、その発展性を希求し祈念して見たのである。(中略)

  校歌であるからには叙景的や抒情的だけでは意を尽くし得ないので、本校制定の生徒生活目標等に関連性をもった言葉や内容を取り入れることにも努めて見た。「天分伸ばし」、「身魂鍛へ」、「情操磨き」から、「知性を高め」、「技術を練りて」、「婦徳を修め」など、人間形成上、又女性としての修養上プラスになる条件はこれを織りこんで見たのである。なお「天地のいかなるものか乙女の若き生命にあへてまさらむ」の歌意に則り、「若さ」を高く評価し、「若き力」、「若き血潮」、「若き生命」を尊く活用することを強調し、最後に学徒の究極の目標である真理探究に手を携え、足並みをそろえて勇往邁進すべく鼓舞激励の意を歌いこむことにしたのである。(中略)

  本校に学ぶ生徒諸嬢よ、心あらばこの経緯を知られ、この真情をくみとられて、この校歌を愛誦せられよ。やがて諸嬢が他日社会人となられ、家庭人となられても、折にふれてこれを口ずさむ時、諸嬢の心は母校の屋上を訪れるであろう。ここに本校校歌の由来を摘記して、後にのこし伝え、何かのよすがにもと思うものである。

 

■みなさん、どうでしたか。今、全校の前で浅野先生の校歌への思いを紹介し、現役の校長として身の引き締まる思いです。松女の象徴でもあり、愛するこの校歌を作ってくださった浅野光良校長先生に心より感謝の意を捧げます。

 

■今年、乙巳(きのとみ)の年も残りわずかです。来年は丙午(ひのえうま)の年、松山女子高校の創立百一年目の年。新年が松山女子高校にとってよい年になるよう、また、みなさん一人一人にとって意義ある年になるよう祈念して、2学期終業式の校長の話といたします。みなさん、よい年をお迎えください。 

令和7年度 第2学期始業式 校長講話

 

 

 

 

 

 

 

 

◼️みなさん、おはようございます。校長の黒田です。いよいよ2学期が始まりました。2学期は、「松女祭」「体育祭」「創立百周年記念式典」「修学旅行」と行事が目白押しです。それぞれの行事も大切な学びです。しっかりと取り組んでいきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

◼️さて、今年度は創立百周年イヤーということで、さまざまな百周年プロジェクトや大学との連携企画が動いています。まず初めに、それらのプロジェクト企画を皆さんに紹介したいと思います。

◼️まずは、本校と大学との連携、いわゆる高大連携企画3つと、地域との連携を1つ紹介します。

◼️高大連携の一つ目は、東京学芸大学との連携です。これは、文部科学省の「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」に採択されて2年目となる本校が、東京学芸大学と手を組み、ICT技術を用いた新たな授業の形を創造していく取組です。DXハイスクール委員会の委員長・阿部先生を中心に進めています。

◼️具体的には、東京学芸大学の知見をお借りしながら、本校理科の川鍋先生がVRゴーグルを活用した星座の授業を開発しています。

◼️二つ目は、東京大学と大日本印刷(DNP)が協力して新たなSTEAM教育のワークショップをこの夏休みに開催しました。そのワークショップには、関東首都圏の高校5校が参加を依頼され、本校からも4名の代表生徒が参加しています。ワークショップのテーマは「「人」を考える。〜デザインし思考でユニバーサルデザインを考えてみよう!」

◼️全3回のワークショップで夏休み中に2回が終了しました。9月20日に最後のプログラムを残すのみとなりました。校長も1回目のワークショップには参加しましたが、本校の代表4名の活躍ぶりは、校長として誇らしいほど、すばらしいものでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

◼️三つ目は、女子栄養大学との連携です。このプロジェクトは、女子栄養大学、松山女子高校のほかに、御団子の富久屋さん、松山高校新聞部、東松山市役所、埼玉りそな銀行東松山支店が関わっています。プロジェクトの内容は、本校生徒のアイデアによる御団子・富久屋さんの商品開発です。このプロジェクトには、本校家庭部が携わっていきます。松女祭後に本格的にスタートしていくことになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

◼️次に、地域との連携企画を1つ紹介します。本校の門を出てすぐのCoyano Coffeeさんとの連携企画で松山女子高校オリジナルのコーヒーバッグ制作プロジェクトです。コーヒーの味を試飲するところからスタートして、パッケージのデザインも松女オリジナルです。コーヒーのテイストは家庭部が担当し、パッケージは美術部が担当しました。販売戦略は生徒会が担当します。松女祭で1,000パック販売しますので、みなさんよろしくお願いします。

◼️また、この松女オリジナルコーヒーバック・プロジェクトでは、制作したコーヒーバックを創立百周年式典で記念品として参加者に配付することになっています。生徒の皆さんにも、松女祭で販売するのとは別バージョンが配られますので楽しみにしていてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

◼️創立百周年関係のことについても、お話ししておきましょう。

◼️11月22日(土)13時、東松山市民文化センターにて松山女子高等学校創立百周年記念式典を開催します。式典には、埼玉県知事をはじめ、県教育長、県議会議員、東松山市長など多くの御来賓に御臨席いただきながら創立百周年の節目を迎えていきたいと思います。全校生徒のみなさんには、その式典に参列していただきます。

◼️ちなみに、式典で御来賓が胸につける花を家庭部が手作りしてくれております。

◼️式典に参列する方々には記念品が用意されています。先ほどのCoyano Coffeeバックも含め素晴らしい記念品ですので、楽しみにしてください。

◼️なお、百周年を迎えるに当たり、美術部の協力によるポスターがさまざまなところに掲示されていることと思います。また、本日より埼玉りそな銀行東松山支店に1か月、来月からは東松山市役所ロビーにて約2か月パネル展示が行われます。

 

◼️情報提供が長くなりました。2学期始業式に当たり、校長から1点だけ、話をします。

◼️1学期の終業式では、みなさんに「夏休みを無駄に過ごさないで」という話をしました。趣味、映画、旅行、読書、勉強などなど、夏休みにしかできないことをいろいろとやってみてと言いました。いかがでしたか?

◼️かく言う校長は、そこそこやりましたよ。少々自己開示してみましょう。

◼️実は私、校長でありながら、国立大学の大学院2年生でもあります。休日などを利用して松山女子高校での校長の職をより全うするために、学校マネジメントについて研究をしています。

◼️夏休み中には夏季集中講座Summer Cyclesというのがあります。1サイクル3日間×3回で計9日間、ビッチリ学びました。学ぶといっても大学の先生の講義を聞くのではなく、各自が実践書や理論書などの書籍をじっくり読んで、その内容を小グループで紹介しあい、レポートを書くというものです。

◼️丸三日書籍をじっくり読むなどということは、日常的にはありえないことで、とても贅沢な時間でした。今年で2年目となりますが、今年読んだ書籍は『物語る校長〜新しい教育リーダーシップ〜』というある中学校長の実践書とピーター・M・センゲという人の『学習する組織』いう理論書の2冊です。

 

 

 

 

 

 

 

 

◼️実践書は、読みながらそこに描かれているストーリーを追っていきます。そして、そこから自身の実践を振り返ります。それを「省察」と言います。理論書は、そこに書かれている理論を理解していきます(それ自体が難しい)。そして、それが自身の実践の中に隠れていないかをじっくり吟味します。「実践と理論の往還」という作業です。そんなことを3日×3回行いました。脳がとても疲れましたが、とても楽しい9日間でした。

 ◼️今日は、私が学んだことの中で是非とも皆さんと共有したいことがありましたので、紹介したいと思います。それは、書籍『物語る校長』の中にありました。第2章「学校は学び育つための場所である」の第三節の中の「学校の主人公は誰だ」の段にありました。

◼️著者の牧田秀昭氏は、福井県の中学校の校長先生です。その牧田校長先生が副校長のときの経験が描かれています。その部分を引用します。

 

私は、前任校の福井大学教育学部附属義務教育学校がOECDのInnovative Schools Network 2030に参画した際、International Student Innovation Forumの場で世界各国の同世代の生徒たちが学校や国を越えて、エネルギー問題やこれからの教育などについて協議している姿を目の当たりにした。参加した生徒たちだけでなく、私たちにも衝撃が走った。

 会の最後には、生徒たちの合意による「生徒共同宣言」が提案され、満場一致で採択された。

 そこには「私たちは共に立ち上がり、お互いに学び合うことを決意しました。さらによりよい未来のために、私たちが持っている信念や希望を確認するため、この共同宣言を作成しました」という前文に始まり、「学び」に関することのなかには「過去の知識を吸収してテストでいい点を取るだけでは、よりよい世界をつくることはできません」「私たちは学びを「他人事」ではなく「自分事」として捉え、さまざまな立場・経験をもった地域の人々や世界中の人々と、いろいろな課題について熟議し、そして行動に移していくことが大切と考えます」という決意、そして「私たちはカリキュラムづくりや選択も含む、自身の学びとその発展に責任を持つ準備ができています」と続く。最後には「私たちは、単なる傍観者ではなく、世界を創っていく主人公なのです」と締めくくられている。

    私は、感動すると同時に、今までの「子どもが主役」というスローガンの薄さを思い知った。子どもたちはまだまだ可能性に満ちている。
 

◼️私は、この部分を読んだとき、世界の子どもたちが考えたこの「生徒共同宣言」の内容に著者の牧田校長と同じように衝撃を覚えました。世界の中学生は流石だなと。

◼️しかし、この「生徒共同宣言」の内容をもう一度よく眺めたら、それは「主体的な学び」のことなのです。本校の重点目標1の「生徒・教職員により主体的な学びを実現する」と、この「生徒共同宣言」の精神と一致しているのです。そのことに再び感動したのでみなさんに紹介しました。

◼️さて、本日は2学期の始業式にあたり2点話をしました。1点目は、2学期以降、本校で進んでいく連携プロジェクトと創立百周年関連の情報について、2点目は、校長がこの夏休みに学んで感動したことについてです。

◼️では、いよいよ2学期のスタートです。各行事の学びと各教科の学び、双方とも全力で取り組んでいきましょう。

 

令和7年度 第1学期終業式 校長講話

 

 

 

 

 

 

 

 

■みなさん、おはようございます。校長の黒田です。本日、1学期の終業にあたり、校長として生徒のみなさんに3点、話をしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

■1点目は、成績会議の話です。

■昨日は、成績会議というものがありました。1学期のみなさんの成績を先生方で確認する会議です。成績優良者、成績不振者を確認しました。成績優良の人は、このまま頑張って伸ばしていってください。成績不振の人は、少し頑張らなければならないと思います。

■では、その頑張り方ですが、「よーし、次からは頑張るぞー」という決意は、とても大事です。しかし、それだけではダメです。精神論だけではなく、原因の分析と具体的な戦略が必要だということです。

■まず、「なぜ、今回欠点を取ってしまったのだろう」とその原因を考えてください。例えば、今回は明らかにさぼってしまったとか、もともと苦手なのであきらめていたとか。その程度でもよいと思います。

■世の中の出来事というのは、原因があって結果があります。今、目の前にある結果には、それ相応の原因があるはずなのです。ですから、原因の分析は必ず必要です。

■ちなみに、校長が時々やる分析方法に、SWOT分析という方法があります。これは、企業などが経営戦略や事業戦略を立てる際に、自社の状況を把握するためによく使う方法でもあります。興味のある人は「SWOT分析」と調べてみてください。

■次に、課題を解決すべき具体的な戦略です。これは、分析した原因をクリアする方法ともいえます。例えば、原因が「今回はさぼってしまったから」ならば、「さぼらないための具体的な方法」であり、原因が「もともと苦手なので、あきらめていた」ならば、「苦手を克服する具体的な方法、また、「あきらめずに取り組むための具体的な方法」ということです。

■分析した原因をつぶすためには、何をやればいいのか。実現可能な具体的な方法を、頭をクリアにして、一つ一つ考えれば、いい作戦、戦略も生まれます。うまくいかないことというのは、そのプロセスに何かしらの問題があるものです。その何かしらの問題点を明らかにすること。これ「分析」です。この「分析」に基づき、方策を立てていく。これが「戦略」です。そして、これらを総じて「課題解決能力」と言います。

■みなさん、本日配られる通知表の成績に一喜一憂するだけではなく、よかった人は、うまくいった原因と更に伸ばす戦略を、よくなかった人は、その原因と、克服する戦略を考え、この夏季休業中に行動してみてはどうでしょうか。

 

■2点目は、その「夏季休業」「夏休み」についてです。「夏休み」いい響きの言葉ですね。小学生の頃から大好きな言葉です。みなさん、この「夏休み」を大切にしてくださいね。本当の意味の「夏休み」というのは、学校にいるときにしかありませんからね。我々大人にも「夏季休暇」というものがありますが、我々の場合は5日間です。みなさんのように40日もありません。

■先ほど、「夏季休業中に行動してみては」と言いましたが、みなさんには、この「夏休み」を無駄に過ごしてもらいたくないのです。

■みなさんは、この「夏休み」に何をしますか。時間があるので、いろんなことができますよ。趣味、映画、旅行、読書、勉強などなど。とは言え、ぼーっとしているとあっという間に時は流れてしまうのです。無駄に過ごさないためには、どうしたらいいですか。考えてください。これも戦略ですね。

■そうですね!計画を立てるのは得策ですね。小学生の頃、学校から「夏休みの計画表」もらいましたよね。シールついているやつ。校長は、あれは優れモノだと思います。よく巷で「見える化」するといいと言われていますが、これがまさに「見える化」ですね。

■みなさん、是非とも「夏休み」40日間の自身の行動を「見える化」してみてください。

■そして、そこにいろんなやりたいことを盛り込んでください。勉強はもちろんです。高校生なので、勉強は毎日必ず入れてください。そして、「夏休み」だからこそできる勉強も入れてください。

■例えば、「1日10時間勉強」はどうでしょう。「私は「1日10時間勉強」を3日やってみよう」とか、「私は7デイズやってみよう」とか、「私は受験生だから、40日やってみよう」とか。やらされではなく、自分で決意して挑戦してみてはどうでしょう。

■ちなみに、校長は高3の夏休みは、10時間×40日やったなあ。高校入学した時は、学年450人中40番ぐらいで、いい気になっていて、それから部活動一本やりの柔道部員になって、高2の終わりには400番ぐらいになっていました。母一人子一人でしたので、公務員・警察官になろうと思っていました。それは私の場合、成績が悪くなったいいわけでした。高3になって、真剣に進路を考えたら、教員になりたいと思うようになってしまいました。担任の先生に相談したら、「黒田くん、教員になるには大学に行かないとだめなのよ」と言われ、「そうか、やっぱりなあ」「じゃあ、大学行くか!」と勉強に本腰入れることにしました。それで、10時間×40日です。私は、書いてインプットするタイプだったので、ひたすら書いていました。レポート用紙が1冊終わり、2冊終わりと、それがたまっていくのが楽しみになってきました。最終的には10冊、表裏と。

■そんな中で、夕方からは気晴らしに近くの公園まで散歩して、読書をしていました。島崎藤村とか夏目漱石とか。これも楽しみでした。

■すいません。私の40年以上前の話なんか役立ちませんね。

■とにかく、高校時代の「夏休み」を無駄にしないように。「見える化」やってみてください。あと、「1日10時間勉強」もやってみてください。

 

■3点目は、松女生に感動したことを2つ。

■一つは、駅に向かう南幼稚園近くで熱中症の方を松女生数名が救助して、その方からお礼の電話があったこと。そんな電話が来ると校長としては、みなさんのことが誇らしく、そして愛おしく思います。校長からお礼を言います。本当にありがとう!

■二つ目は、校長は全ての先生方の授業を見学しているのですが、3年生のある授業を見に行ったとき、教科担当先生が「これ、分かる人?」と発問すると、5、6人の生徒がすぐさま「はい!」と手を挙げたのです。まず、ここで感動(その1)。多くの高校を勤務してきた私にとって、これは普通の光景ではないことを知っています。

■なぜだろう。すぐにその原因・理由を考えます。その答えは、松山女子高校が女子校だからです。高校時代という人生で最も成長する時期に、異性の目を気にせず自然体で授業に臨めることです。思春期の生徒です。「恥ずかしい」という感情は当然です。そして、この「恥ずかしい」という感情も決してなくしてはならないものです。

■しかし、この「恥ずかしい」に負けて、学習意欲やチャレンジ精神などが、かき消されていくのです。ですから、この状況というのは、女子高である本校にとってかけがえのないメリットなのです。

■話を戻します。手を挙げた5,6人の中の一人が指名されました。その生徒は、起立し大きな声で発表しました。そして、間違えたのです。ここで更なる大きな感動(その2)。

■人前で間違えるということは、かなり恥ずかしいことです。だから、共学の学校では、異性の目を気にして、また間違えることを恐れ、手を上げないのです。

■みなさんは、答えを分かっているのに答えない人と、間違えるかもしれないけれど答える人とでは、どちらが成長する人だと思いますか?・・・そうです。後者ですよね。だから、校長は、生徒のみなさんに「間違えてもいい」というのです。いや、むしろ、「間違えてみなさい」といいたいです。

■そして、これこそが、本校が掲げる重点目標の1『生徒・教職員により「主体的な学び」を実現する』ということなのです。

■このエピソードは、女子校のメリットとして、中学校の先生方や生徒、その保護者にお話していることなのですが、これは単に女子校のメリットということではなく、松女の独自のすばらしさであると思います。

■これが、校長が松女生に感動したことです。みなさんは、この松山女子高校に入学し、社会で「凛として輝く」ために3年間自身を磨いているところです。そして、あなたたちは着実に「凛として輝く」人に成長しています。そのことを、校長が保証したいと思います。

■みなさんが松女生で本当に良かったと思います。みなさんも松女生であるということに誇りをもって、「凛として輝く」人を目指していってください。

 

■以上、本日は3点話しました。1点目は、成績会議の話から、「原因の分析と戦略」という話。2点目は、「夏休み」を無駄にしないために「見える化」をという話。最後、3点目は、校長が松女生に感動した話でした。HPにアップしておきますので、あとでまた見返してみてください。

■では、1学期、大変お疲れ様でした。充実した「夏休み」を過ごし、また2学期に元気に会いましょう。以上です。

 

令和7年度 離任式 校長挨拶

【令和7年5月2日開催】

 皆さん、こんにちは、校長の黒田です。

 今日は、この春の人事異動により本校を離任された先生方をお送りする日です。これまで本校の教育に力を尽くしてくださった先生方に、心からの感謝と敬意を表したいと思います。

  上級生の皆さんの中には、授業や部活動などで直接ご指導いただいた先生もいらっしゃるでしょう。一方で、1年生の皆さんにとっては、まだ お会いする機会もなかった先生方かもしれません。これから、離任される先生方から、それぞれお言葉をいただきます。それぞれの先生の最後の授業ですので、よく聞いてほしいと思います。

  上級生は知っていると思いますが、私は茶の湯・茶道をやっておりまして、その道の教えで大切にされている「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」という言葉があります。どんな一日にも意味があり、価値がある。思い通りにいかない日であっても、それを丁寧に受け止めることで、自分にとっての「良い日」とすることができる——そんな教えです。

  今日という日も、私たちにとって大切な「好日」です。別れは寂しいものですが、それぞれの道を歩まれる先生方から教えを請い、感謝を伝えるこの時間は、私たちの心を育てる尊い一日です。

  そしてもう一つ、茶道の心得としても知られる「一期一会(いちごいちえ)」という言葉。今この瞬間、この人、この空間と出会うことは、もう二度と同じ形では訪れません。その出会いを大切にし、真心で向き合うことの大切さを教えてくれます。

  1年生の皆さんも、今日ここで見送りの時間を共有することが、すでに一期一会の出会いであり、学びです。どうか、皆さんもまた「日日是好日」の心で、日々を大切に歩んでいってください。

  それでは離任される先生のお話をしっかり受け止めてください。

  先生方、どうぞよろしくお願いいたします。

 

令和7年度 第1学期始業式 校長講話

 

 

 

 

 

 

 

 

■2年生、3年生のみなさん、おはようございます。4月になり、みなさん一つ学年が上がりました、進級、おめでとうございます。

 ■さて、みなさん御存知のとおり、今年度・令和7年度は本校創立百周年という記念すべき年です。卒業式・終業式でも述べた「松樹千年の翠」。百年もの長き間変わらず、守り受け継いできた伝統という松の翠に恥じぬよう、みなさん一人一人、意義ある1年にしてほしいと思います。

■それでは、創立百周年の1学期の始業に当たり、2点話をします。

 ■1点目は、夏目漱石についてです。

 

 

 

 

 

 

 

 

■夏目漱石、本名・夏目金之助、英文学者、小説家、明治二大文豪の一人です。因みに明治二大文豪のもう一人は、『舞姫』の森鴎外。本名・森林太郎。

■みなさんは、漱石の小説で、何か読んだことはありますか。3年生は授業で『こころ』を読んだかな。

■『吾輩は猫である』『坊っちゃん』や、『三四郎』『それから』『門』の前期三部作、

『彼岸過迄』『行人』『こころ』の後期三部作などなど。

■校長は、高校2年の時読んだ、小説『草枕』がとても好きです。

■昭和59年から平成16年まで千円札の肖像画であったのは知っていますか。

 ■さらに、漱石の作品の中に『私の個人主義』というものがあります。小説ではなく、1914年(大正3年)、学習院の学生に対して行った講演を活字にしたものです。小説と違って漱石の主張がストレートに表現されています。読んでいると目の前に漱石が現れ、自分に話してくれているような錯覚に陥ります。みなさんも高校のうちに是非読んでみてください。

■『私の個人主義』の概要をお話します。

■第1次世界大戦の勃発する1914年の講演です。「国家主義」の理念が大変盛んになり、国家の利益のために生きることが強調されていた時代でした。

■世の中はそんな状況でしたが、漱石は「個性こそ発展させるべきである」という「個人主義」を主張します。

■以前、講道館柔道の創設者で東京師範学校(現・筑波大学)の学長を長く務めた嘉納治五郎の話をしましたが、漱石は嘉納治五郎に大変気に入られて、東京師範で英語の教師を務めます。その後、松山中学(現・愛媛県立松山東高校)の教師。この時の経験が小説『坊っちゃん』のモチーフとなります。次に第五高等学校(現・熊本大学)、そして、国費によるロンドン留学といった漱石が歩んだ人生を、振り返る形で話が展開します。

 

 

 

 

 

 

 

 

■その中で、漱石は今の世は「他人本位」に生きる人が多いが、自身は「自己本位」で生きてきたと語ります。そして、目の前の学生たちにも「自己本位」に生きるべきということを説きました。

■キーワードは「自己本位」。ものを考え、主張するならば、「その出発点は自らを拠り所として、主体的に頭を使って考えよ」そこから「自らの道を行き、目標を成せ」と。

■言い換えると、「思索の原点を「自己」を出発点にせよ」ということなのです。

 ■最近よく、「自ら問いを立てることが大事だ」と言われますが、これと同じだと思います。

■本校の重点目標の1は「主体的な学びの実現」ですが、これも同じです。

■みなさんの中に、生徒とは先生から勉強を教えてもらうものと考えている人はいませんか。

■その考えは、漱石から言わせれば「他人本位」ということになります。「学び」というものは、与えてもらうものではなく、自らつかみに行くものなのです。そのことを漱石は110年以上前から私たちに説いていたのです。是非とも漱石の言葉を受け止めてみてほしいと思います。

 

■2点目は、創立百周年の本校が大切にしている言葉「凛として輝く」についてです。

■本校では様々な場面で使われる言葉ですが、その意味をもう少し深めておきたいと思います。

■みなさんが「凛として輝く」のはどこでしょうか。それは「社会」です。3学期修了式にも言いましたね。みなさんは本番の舞台である「社会」で凛として輝き、学校は、そのためのリハーサルだと。

■社会で凛として輝くということを別の言い方をするとすれば、「independence」「自立」するということです。「自立」と一言で言っても、身体的自立、経済的自立、社会的自立、精神的自立など、いくつもの意味を含みますが、最終的には全ての自立を果たさなければなりません。リハーサルである在学中に、意識して一歩ずつ成長していってほしいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

■以上、1学期始業式に当たり、2点話しました。1点目は、漱石の「自己本位」と主体的な学びについて、2点目は、「凛として輝く」と自立についての話でした。

 ■さて、いよいよ創立百周年の令和7年度がスタートします。みなさん一人一人が意義ある1年になるよう「自己本位」で、主体的に取り組んでくれることを大いに期待しています。

■本日、午後は入学式が挙行され、みなさんの後輩となる新入生を迎えます。よきメンター役として様々な場面で助けてあげてください。よろしくお願いします。 以上です。